113 研究の背景と経緯 敗血症は細菌ウイルス真菌などの感染症によ る全身炎症に臓器障害を伴う病態であり進行すると 多臓器不全や敗血症性ショックといった重な病状と なる 1) この多臓器不全の発症には免疫血栓形成が 重であると考えられている免疫血栓形成機序はま だ全てが明らかになっているわけではないが感染時 の刺激による好中球-血管皮接着やneutrophil extracellular traps(NETs)の放出を起として の好中球NETs 上への血小板の接着集積やフィブリ ン重合により形成されると言われている本免疫 血栓は細菌の封じ込めや殺菌に寄しているが敗血 症の激しい全身炎症状態により免疫血栓形成の制 御が著しく損なわれ全身で無秩序に形成されるように なると全身の臓器で虚血・低酸素状態が引き起こさ さらに活性酸素による組織障害が起こり多臓器 不全へと進行する 2) この敗血症を治する為に 症性サイトカインや菌体成分そのもの若しくは自然免 疫をブロックする治の開発が行われてきたが 功した事は存在せずこれまでとは全く異なった視 での創が必とされている 3) Histidine-rich glycoprotein(HRG)は主に肝臓で 産生される分子約75kDa の血漿タンパク質でヒト 血漿中に高(約 1 µM)存在するHRG は 4 つの ドメイン構造(シスタチンライクドメイン 1 シスタ チンライクドメイン 2 ヒスチジン-プロリンリッチド メインC末端ドメイン)より形成されておりこの うちヒスチジン-プロリンリッチドメインはGHHPH モチーフを12回繰り返す徴部位を持つ 4,5) HRG は々なリガンドと結合することが知られており パリンやフィブリンフィブリノーゲンと結合するこ とで抗凝固活性プラスミンプラスミノーゲンと結 合することで抗線活性を発揮するまた死細胞 HemeLPS の生体に不な細胞や性を発揮す る物質と結合しその除去や中を助ける 4,5) さら 瘍敗血症モデルにおいて HRG は瘍局所で病 原体の殺菌にくことが報告されている 6) 以上の知見よりHRG は敗血症時に制御不全に陥る と考えられる凝固・線系や炎症・免疫系の制御に重 な役割を担っていることが示唆されるしかしなが 敗血症時の循環血液中の HRG の役割についての 詳細は明らかとなっていないその為本研究では 敗血症における循環血液中 HRG の役割とHRG が敗 血症治となる可性について検を行った 和 氣 秀 徳 Hidenori Wake 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 薬理学 Department of Pharmacology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences 岡山医学会雑誌 第130巻 December 2018, pp. 113-115 平成29年度岡山医学会賞紹介記事  総合研究奨励賞(結城賞) 昭和53年生まれ 平成15年 3 月 岡山大学医学部保健学科検査技術科学専攻卒業 平成15年 4 月 岡山大学大学院医歯学総合研究科修士課程入学 平成17年 3 月 岡山大学大学院医歯学総合研究科修士課程修了 平成17年 4 月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程入学 平成21年 9 月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程修了 平成21年 9 月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 薬理学 非常勤研究員 平成21年11月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 薬理学 助教 平成29年 9 月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 薬理学 講師 現在に至る <プ ロ フ ィ ー ル> Wake H, Mori S, Liu K, Morioka Y, Teshigawara K, Sakaguchi M, Kuroda K, Gao Y, Takahashi H, Ohtsuka A, Yoshino T, Morimatsu H, Nishibori M : Histidine-Rich Glycoprotein Prevents Septic Lethality through Regulation of Immunothrombosis and Inflammation. EBioMedicine (2016) 9, 180-194. 受 賞 対 象 論 文