【土 木計 画 学 研 究 ・論 文 集Vol. 20 no. 4 2003年9月 】
遅れ時間自己評価による リアルタイム交通信号制御1
A Real Time Traffic Signal Control by Self-Evaluating Delay1
浅野美帆2・中島章3・堀 口良太4・小根山裕之5・桑原雅夫6・越正毅7・赤羽弘和8
By Miho ASANO2•EAkira NAKAJIMA3•ERyota HORIGUCHI4•EHiroyuki ONEYAMA5•EMasao KUWAHARA6•E
Masaki KOSHI7•EHirokazu AKAHANE8
1.は じめに
本研究は,ITSの セ ンシング技術 を用いて信号待ちに
よる遅れ時間 を測定 し,こ れを最小化す るよ うに信号パ
ラメー タを自動生成す るアルゴリズム1)を動的な信号制
御システムとしてシミュレーションモデル「AVENUE」
に実装 し,そ の有効 性につ いて検 証を行 った ものである.
現在の 日本の信号制御 において は,感 知器等によ り取
得 した車両の遅れをもとに信号パ ラメータを設定す る.
このときのパ ラメータの決定方法 は,ほ とんどの交差点
においてプログラム選択方式が用 いられてお り,選択す
るパラメータ(サ イクル スプ リッ ト,オフセ ッ ト)は 基
本的には人手によって事前設定す る必要がある.このた
め,良好な制御 を維 待す るためには十分な人手 をかけな
ければな らないが 現実 にはそのための資金 体制が不十
分であって常に良好な制御状態とは必ず しも言えない
またその設定方法 自体 も飽和度でスプ リッ トを配分 し
てお り,何を最適化 しているか という状態値 特に評価指
標であるべき旅行時間を直接に計測評価 していないとい
った問題点が挙 げられる.
これ らの理由か ら,直近の交通量 を用い,総旅行時間を
最小にす るようパ ラメータを自動生成するアルゴ リズム
が必要で ある.本 研究 では,越 ら1)によって提案された
アルゴ リズムをもとに,動 的 に変動す る交通流 に応 じて
信号パラメータを毎サイクル 自動決定 し,信 号機 に反映
させるシステムを開発 した.本 アルゴリズムでは制御 に
必要なパラメータをすべてAVI,車両感知器により取得
す るため,パ ラメー タ修正などのオペレーシ ョンコス ト
は非常に小さくて済む.そ のため,長 期間にわた って良
好な制御を維持す ることが可能 となる.
本手法で用いる遅れ時間の測定は,近 年開発されてき
たセ ンサーによ り可能 とな った.本研究 では後 に社会実
験を行うことを考慮し,現 段階で利用可能なAVI (Autom
atic Vehicle Identification)を用いた
想定するが,将来的には高度な画像処理による車両軌跡
追跡技術を基 にした安価なセンサーを想定 している2).
2.越 ら1)による信号制御アルゴ リズムの概要
越 らは遅れ時間を直接測定 し,そ れを元 に信号パ ラメ
ータを最適化する信号制御 アルゴ リズムを提唱 している
.
その概要としては,ま ず,AVIや 光 ビー コンのアップ
リンク情報等のデータに基づ いて交差点を通過す る各車
両の通過時刻 をもとに到着 ・出発交通量累積 図を描画 し,
信号による遅れ時間を算出する.こ の累積図に基づいて
信号パラメータ(サ イクル,ス プリッ ト,オ フセ ッ ト)
がそれぞ れ δ変動 した際の累積 図の形状 を予測 し,遅 れ
時間の変化量が最小となるようにパラメータの変更量の
組合せを決定する.
具体的な予測方法としては,ま ずスプリット,オ フセ
ッ トにつ いては,も との累積図か らそれぞれ± δ変更 し
た ときの累積図を,出 発曲線 をシフ トさせることによ り
推定する.図-1は スプ リッ トのみを± δだけ変更 させ
た例である.ス プ リッ トを δ増や した場合には,赤 現示
の開始時刻が現在 よ りも δ遅れるため,出 発曲線はもと
の曲線を上方向にシフ トした1点 鎖線 になる.こ の とき
の遅れ時間の変動量 を求め,表-1に 示すよ うな遅れ時
間変動量マ トリックスとしてまとめる.
マ トリックスを全流入方向につ いて作成 し,最 適スプ
リッ トは交差点 ごとに,最 適オ フセ ットはリンク ごとに,
遅れ時間変動量が最 小となる方向 を選 択す る.
図-1パ ラメータ変動時の累積 図の推定
(スプ リッ トのみ δ変動)
1キー ワーズ:ITS
,信 号 制御,遅 れ時間
2学生員
,東 京大学大学院工学系研究科
3非会員
,東 京大学大学院情報理工学研究科
4正 員
,工 博,(株)ア イ ・トラ ンス ポ ー ト ・ラボ
5正員
,博(工),国 土交通省国土技術政策総合研究所
6正員
,PhD,東 京大学 生産技術研究所
7非会員
,工 博,(財)高 速道路技 術センター
8正員
,工 博,千 葉工業大学建築都市環境学科
(東 京都 目黒 区駒 場4-6-,
TEL 03-5452-6419, FAX 03-5452-6420)
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