103 43 巻第 2 号 超高強度レーザーを用いたレーザー核融合中性子計測技術 1.はじめに 近年高強度レーザーによる中性子発生法は最も歴史の 長いレーザー核融合 1,2 のほかに,超短パルスレーザー を重水素ガスクラスターなどに集光しクーロン爆発を起 こす方法 35 ,超高強度レーザーをアルミなどの薄い ターゲットに集光してプロトンを10 MeV程度まで加速 して,ベリリウムなど中性子発生元素にあてるという方 69 ,またレーザーを高Z番号ターゲットに集光してX 線を発生させて光核反応で中性子を発生させる方法など がある 10,11 .どの方法でも共通しているのが,中性子だ けでなく強いX線が同時に発生することである.これら は基本的に制動放射であるが,本書では数MeVを超え X線としてこれらをγ線と定義する.またγ線のエネ ルギーが10 MeVを超えるような実験,たとえばLFEX 12 を用いた高速点火レーザー核融合実験 13 などではγ線が ターゲットやターゲットチャンバーなど周囲の実験構造 物内で光核反応によって中性子を発生させる 14 .エネル ギーは1 MeV付近にピークを持つブロードなスペクトル を有し,発生数は10 9 から10 10 にいたる.これもレーザー 駆動中性子の一種では有るが,レーザー核融合などター ゲットのみからの中性子スペクトルを計測しようとする 場合にはこれらもバックグラウンドとなる. 中性子計測法は数多くあるが,中性子のエネルギース ペクトル計測ができて,しかもこのような超高強度レー ザーを用いた中性子発生実験で機能する計測手法はいく つかに限られる.次章で比較するが,最も有力な計測手 法は飛行時間分解(Time of Flight: TOF)型シンチレー ション計測器であることが著者らの研究で明らかになっ た.次章では強いγ線バックグラウンド環境下において DD核融合中性子(2.45 MeV)を観測する事を前提に,い くつかの計測手法を比較する. 2.中性子計測法の比較 2.1 放射化法 中性子放射化法はγ線に不感であるというメリットを 持つ.また蓄積計測が可能であるため,中性子数が少な い実験でも多数のレーザー照射を積算して計測すること ができる 15 .しかし元素1種では中性子エネルギー分解 ができないというデメリットがある.また光核反応中性 子の発生が多い環境ではコリメーターなどのバックグラ ウンド遮蔽対策が必要である.例えば銀の中性子捕獲反 応を用いたものが激光12号-LFEX実験用に開発されて Special Issue The sciences of laser produced neutron sources, including the laser-fusion, the laser photonuclear neutron generation, the neutron generation via p-Li or p-Be reaction by using laser accelerated protons, require neutron diagnostic tools which were specifically designed for a hard X-ray background environment. Especially in the kJ class ultra-intense laser facility such as LFEX, the X-ray energy exceeds tens of MeV. They create a large number of photonuclear neutron from the surrounding constructions such as vacuum chamber. In this paper the development of neutron time of flight(TOF)detector is described. The neutron detector is constructed with a fast response liquid scintillator and a gated-photomultiplier tube, and they are shielded from background neutrons by means of a concrete collimator. Key Words: Liquid scintillator, Photonuclear neutron, Fast response neutron detector 超高強度レーザーを用いたレーザー核融合中性子計測技術 有川 安信,長井 隆浩,安部 勇輝,宇津木 卓,山ノ井 航平,清水 俊彦,猿倉 信彦, 西村 博明,中井 光男,疇地 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター (〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-6 The Neutron Diagnostics Technique for Laser Fusion Using Ultra Intense Laser Yasunobu ARIKAWA, Takahiro NAGAI, Yuki ABE, Masaru UTSUGI, Kohei YAMANOI, Toshihiko SHIMIZU, Nobuhiko SARUKURA, Hiroaki NISHIMURA, Mitsuo NAKAI, and Hiroshi AZECHI Institute of Laser Engineering, Osaka University, 2-6 Yamadaoka, Suita, Osaka 565-0871 Received November 25, 2014