土 木 学 会 論 文 集No. 769/VII-32, 89-94, 2004. 8 微小電極法を用いた河床礫生物膜内の DOと窒素の濃度プロファイルの測定 山 崎 慎 一1・ 山 口 隆 司2・ 荒 木 信 夫3・ 角 野 晴 彦4・ 大 橋 晶 良5・ 原 田 秀 樹6 1正会員 工博 高知工業高等専門学校助教授 建 設 シス テ ム工 学科(〒783 -8508高 知県 南 国市 物 部200-1) E-mail: syama@ce.kochi-ct.ac.jp 2正会 員 工 博 呉 工 業 高等 専 門学 校 助教 授 環 境 都 市工 学科(〒737-8506 広 島県 呉 市 阿賀 南2-2 -11) 3正会 員 工 博 長 岡 工業 高 等 専門 学校 助 教授 環境 都 市 工学 科(〒940-8532新 潟県 長 岡市 西片 貝888) 4正会 員 工修 岐 阜工 業 高 等専 門 学校 助 手 環境 都 市 工学 科(〒501 -0495 岐 阜県 本 巣 市 上真 桑2236-2) 5正会 員 工博 長 岡技 術 科 学大 学 助教 授 環 境 シ ステ ム系(〒940-2188 新 潟県 長 岡市 上富 岡 町1603 -1) 6正会 員 工博 長 岡技 術 科学 大 学教 授 環 境 システ ム 系(〒940 -2188 新 潟 県長 岡市 上 富 岡町1603-1) 4種類 の微 小 電極 を作成 して,河 床礫 付 着生 物 膜 内のpH, DO, ア ンモ ニ ア 性窒 素,硝 酸 性窒 素 の濃 度 プ ロフ ァイ ル を測 定 した.明 条 件(照 度8000ルク ス)の河 床 礫 は,光 合成 によ っ て生 物 膜表 層 部 でDOが 急 激 に増 加 したが,暗 条 件で は,表層 部 か らDO濃度 が減 少 し内 部 で消 失 した.暗 条 件 で のア ンモニ ア性 窒 素 消 費速 度 は,明 条 件 の約1/2の値 で あ った.四 万十 川 流域5地 点 の 河床 礫 で は,5地点 と もに生 物膜 表 層部 か らア ンモ ニ ア性窒 素濃 度 は減 少 し, 硝酸 性 窒 素濃 度 は増 加 した.ア ンモ ニ ア性 窒 素消 費 速度 は, 上流 の志 和 分大 橋 か ら中 流 の大 正 流量 観 測所 まで は0.06~0.13μmol/cm2・hの 値 を得 た が,岩 間橋 よ り下 流 で は 次第 に減 少す る傾 向が み られ た. Key Words: microelectrode, nitrogen concentration profile, photosynthesis, ammonia consumption activity, Shimanto river 1. は じめ に 河 川 の生 物学 的 浄化 には, 主に河川底質や河床礫 表面 に生 息す る好 気性 細 菌, 硝化 細菌, 脱 窒細菌, 類な どの微生 物が 関与 してお り, これ らの微生物 は, 河川 水 中の 有機 物 除去, 有機性窒素の無機性窒素へ の変換 と除去(藻類の場合は摂取)を行 っていると考 え られて い る. しか し, 実 際の河 床底 質や 厚 さ数mm 程度 の 礫表 面 に付 着 した 生物 膜 内 にお いて, 酸素供 給や窒素変換などが実際 どの様に行われているかに つ いて は, これ まで の測 定技 術 で は解析 が 困難 で あ り,今 なお不 明 な点 が残 され て いる. しか し近 年, 微小空間の物質濃度を比較的瞬時に 定量することができる様々な微小電極が医学, 生物 学 の分野 で 急速 に開発 され, 環 境工 学 の分野 にお い て も1980年 頃か ら,自然水域 の堆 積物1)~3), 散 水ろ 床や 回転 円板 に付着 した 生物 膜4)~7), 生 物反 応槽 で形 成 した微 生物 フロ ックや 凝集 体8)~12)な どの生態解 析 に新 規 な評 価 手法 と して 応用 されて きて い る. なか で もRevsbechら は, 湖沼の堆積物中の酸素拡散と硫 化水素の発生挙動や散水ろ床付着生物膜内の脱窒と 酸素呼 吸 の反応 構造 につ いて1),5), 佐 藤 らは, 好気性 微生物膜やフロック内のアンモニア酸化や酸素消費 の機構 に ついて8),9), Lensら や 大橋 らは, UASB反 応 槽 グラニ ュール 汚 泥内 のpH挙動や 基質 反応形態 に つ いて検討 して いる11),12). そ こで 本研 究 は,pH, 溶存 酸素(DO), ア ンモニ ア, 硝酸 の4種 類 の微 小電 極 を作 成 し, これ まで ブ ラ ックボ ックス とされ て いた 河川 水 中の礫 表 面 に付 着 した生 物膜 内部 のDOや 窒 素 の空 間的挙 動 を把握 す る ことを 目的 と して, 礫表面への光照射の有無に よる生物 膜 内のDO, ア ンモ ニ ア性窒 素, 硝酸性 窒素 の濃度 プ ロフ ァイル を測 定 した. また, この窒 素濃度 プ ロフ ァイル か ら求 め られ る単 位礫 表 面積 当 た りの 窒素消費速度は, 河川の窒素除去能力を評価するた めの有効 な指 標 の一 つ と考 え られ る. ただし, 微小電 極での測定条件が実際の河川環境と水質や流速など の点 で異 な るた め実 際 の消費 速度 の評価 は難 しいが, 潜在的な消費速度を流域問で相対比較する場合に有 効 とい える. そ こで, 高知県 四 万十 川 の上流 か ら下 流 89