第 51 回自動制御連合講演会
2008 年 11 月 22 日,11 月 23 日 山形大学工学部
センサネットワークの状態推定誤差と通信エネルギーを考慮した
ネットワークの切り替え
○武田孝史 滑川徹 (金沢大学)
Switching of Networks Considering State Estimation Error and Communication
Energy of Sensor Networks
∗T. Takeda and T. Namerikawa (Kanazawa University)
Abstract— This paper deals with state estimation of H∞ filter and switching of network considering state
estimation error and communication energy of sensor network. The proposed algorithm with H∞ filter
acheive network topology with munimum energy and desired estimation accuracy. experimental results show
effectiveness of proposed method.
Key Words: Sensor Network, Multi-hop Transmission, Parallel H∞ Filter, State Estimation Error, Com-
munication Energy, Network Switching Algorithm
1 はじめに
近年マルチエージェントシステム, センサネットワー
クに関する研究が盛んに行われている. センサネット
ワークは複雑に入り組んだ環境や広範囲に広がる環境
など, 単独のセンサのみではセンシングが困難な対象
の情報の取得, 推定が可能である. さらにセンサネッ
トワークを介したフィードバック制御系についても取
得した情報を用いた誘導制御等への応用が期待できる.
幅広い応用が期待されるセンサネットワークであるが,
分散配置されたセンサノードはバッテリーにより駆動
される事が多く, 消費電力の制限の中で効率的な通信を
行い, 正確な推定値を得る必要がある.
センサネットワークにおける推定アルゴリズムにつ
いて, カルマンフィルタを基にした様々な研究が報告さ
れている
1—4)
. これらの研究においてセンサネットワー
クの設定は様々である. 文献
3, 4)
では分散カルマンフィ
ルタを用いた状態推定アルゴリズムについて述べられ
ている. しかし, 通信に必要な消費電力については考え
ていない. またフィードバック制御系に適用すること
ができない. 文献
1)
ではフィードバック制御系を考え
ているが, 同様に通信エネルギーについては考えられ
ていない. 文献
2)
ではセンサノード間のマルチホップ
伝送を考慮し, フィードバック制御系を構成している.
遠距離間の通信には大きな消費電力が必要となるため,
マルチホップ伝送の考慮は非常に有用であると考えら
れる. 文献
2)
では Fusion center でカルマンフィルタ
を基にしたアルゴリズムで状態推定を行っている. し
かし, 雑音の白色性を仮定しているため, それ以外の雑
音では最適性が失われる.
そこで本稿では雑音の白色性についての仮定がない
H
∞
フィルタによる状態推定アルゴリズムと, その推定
誤差と通信エネルギーを考慮したネットワークの切り
替えアルゴリズムについて述べる. まず, Fusion center,
Sensor node 間のマルチホップ通信を考え, ネットワー
ク構造を有向木で表現する. 時間遅れを持つ観測値に対
して並列 H
∞
フィルタによる状態推定を行う. さらに
その推定誤差と通信エネルギーを考慮してネットワー
クを切り替えるアルゴリズムについて述べる. 最後に
制御実験によりその有効性を検証する.
Fig. 1: Sensor network
Fig. 2: Directed tree
2 問題設定
本稿で扱うセンサネットワークシステムを Fig. 1 に
示す. Plant は雑音を受ける以下の線形時不変システム
である.
x
k+1
= Ax
k
+ Bu
k
+ w
k
(1)
ただし, x
k
,w
k
∈ R
n
, u
k
∈ R
r
はそれぞれ状態, 雑音,
制御入力である. Plant はフュージョンセンタから与え
られる制御入力により制御される. (1) 式について以下
の仮定を置く.
仮定 1. (A, B) が可制御.
仮定 2. rankA = n
仮定 3.
P
N
k=0
||w
k
||
2
< ∞
仮定 2, 3 は Plant に対する H
∞
フィルタが存在する
ための仮定である. 仮定 3 は雑音のエネルギーが有界
であることを示しており, その他の雑音の特性について
は仮定しない. (1) 式の Plant の状態 x
k
は N 台のセン
サノード S
i
, (i =1, 2, ..., N ) により観測される. セン
サノード S
i
の観測モデルは以下とする.
y
i
k
= H
i
x
k
+ v
i
k
(i =1, 2, ..., N ) (2)
y
i
k
∈ R
qi
, v
i
k
∈ R
qi
はそれぞれセンサノード S
i
の観
測出力とそれに含まれる雑音である. センサノードは
それぞれ異なる特徴量を観測するとする. v
i
k
はエネル
ギーが有界な雑音で以下の仮定を満たす.
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