社団法人 電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS 信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE. マルチキャストストリーミングの最適マージング法 豊泉 田中 浩之 会津大学 性能評価研究室 965-8580 福島県会津若松市一箕町鶴賀 E-mail: †toyo@u-aizu.ac.jp あらまし マルチキャストとユニキャストを組み合わせることにより、ストリーミングサーバーからのダウンロード レートを効率的に削減する方法を示した。ストリーミングサーバーへのリクエストを Poisson Process としてモデル化 し、その性質を利用することにより、ダウンロードレートを最小化する最適なマルチキャストとユニキャストの組み 合わせ方法を導出した。この方法を使うことにより、大規模なストリーミングサービスを行う場合でも、ストリーミ ングサービスの規模に対してルートのオーダーでダウンロードレートを押さえることが可能となる。 キーワード マルチキャスト、ストリーミング、Poisson Process、再生過程、映像配信、CDN Optimal Merging Scheme of Multicast Streaming Hiroshi TOYOIZUMI and Hiroyuki TANAKA † Performance Evalation Lab. University of Aizu Tsuruga, Ikki-machi, Aizu-wakamatsu, Fukushima, 965–8580 Japan E-mail: †toyo@u-aizu.ac.jp Abstract Combining multicast and unicast, we show the download rate from the streaming server can be effectively reduced. By modeling the request from users as a Poisson arrival, we can derive the optimal combination of unicast and multicast. Even in the large-scale streaming service, the download rate will be reduced by the order of n 1/2 , where n is the number of users in the streaming service. Key words multicast, streaming, Poisson Process, renewal process, video distribution, CDN 1. Introduction ブロードバンド環境による常時接続が一般家庭にも浸透し、 より多くの人たちがインターネットを経由して、気軽に映像 サービスを受けることができるようになった。インターネット での映像サービスの実現には、さまざまなサービス方法が提案 されている。本論文では、On-demand でユーザーにストリーミ ング映像を提供するサービスを考える。 ユーザーからのリクエストに対して、コンテンツのオブジェ クトを遅延せずに配送する最も容易な方法は、ストリーミング 配信を行うサーバーとユーザーごとに unicast のリンクをオン デマンドで設定することである。しかし、この方法で映像デー タを配送すると同時に接続するユーザーの数 n に対して、線形 のオーダーで映像配信サーバーからの通信帯域が必要となる。 一人あたり 2Mbps の速度(NTSC 並映像品質)で1万人のユー ザーが同じサーバーにアクセスする場合を考えると、映像配信 サーバーは、20Gbps のスピードでネットワークと接続する必 要がある。コンテンツデリバリーネットワーク (CDN) のよう な仕組みで、アクセスの ISP 毎に映像サービスを置いた場合に は、インターネット全体にかかる負荷を減らすことができるが、 それでも、映像サーバーは同じデータパケットを繰り返し転送 しなくてはならず、非効率的である。 このような on-demand 型のストリーミングサービスにおける 配信サーバーの帯域を効率的に使う方法が、精力的に検討され ている。 [5] では、Skyscraper と呼ばれる配送スケジューリング により、リクエストから再生までの遅延を許容しながら、帯域 を一定以下に抑える方法が提案されている。 [2] では、冗長なパ ケットを転送するアプローチにより、転送エラーの再送処理が 不要な方法が Digital Fountain という名前で提案されている。 また、本論文と同様に、リクエストから再生までの遅延を許 容しない場合のダウンロードレートの削減量の評価も行われて いる。 [3], [4] では、将来のリクエストの到着時点まで予測でき ることを前提とした場合に到達可能な平均帯域の下限 b 0 を導 出している。その他のマルチキャストストリーミング関連の文 献は、 [6] に詳しい。 本論文では、マルチキャストストリーミングサーバーのダウ ンロードレートを削減するために、マルチキャストとユニキャ ストを組み合わせた簡易な方法ついて数学的にモデル化し、そ —1—