アタルヴア
・
ヴェーダの写本校訂 と本文伝承史 (土 山)
アタ
ル
ヴァ
0ヴ
ェー
ダの
写本校訂
と 本文伝承史
はじめ|ご
1)
アタルヴァヴ
ェー
ダ
・
サ ンヒタ
ー
(Atharva―
veda― samhita=AV)は
、 リグヴェー
ダ
・
サ ンヒ
ター
(撃
gveda_satthita=RV)に
次 いで イ ン ドで
二
番 目に古
い 文献 とされ、その主要 な部分 はお よ
そ前12世紀 頃 に北 イ ン ドで編纂 された
゛
t AVは
独 自の性 格 を も
つ
文献で、主 として呪法に使用す
るマ ン トラ を伝 承 す る点 でRVと 異 な り、結 婚 儀
礼 な どの非 シ ュ ラ ウ タ儀礼 のマ ン トラ を扱 う点 で
ヤジュルヴェーダ
・
サ ンヒターと異なる。思想史
的にはRVと ならんで、ブラ ーフマナの祭式的な
思考やウ
パニ シ ヤ ッ ドにみ られ る一 元的な思考の
端緒 をなす文献 として重要である。
AVに
はサ ンヒター
を伝 承 す る九 つの学派があ
ったと伝えられるが、現存のサンヒターはシャウ
ナカ派所属 とされるもの
(Saunaka_satthita=SS)
と
パ
イッ
パ
ラ
ー ダ派の もの
(Paippalada_satthita
=PS)の み で あ る。 この うちSSの 写本研究は早
くに開始 され、テキス トと翻訳が出版 されてい
る。 これ に対 してPS写 本は、現在なお校訂研究
が継続 されているところである。本稿 は これ ら
Ssお よびPsの 写本校訂の経緯を振 り返るととも
に、AVの 写本研究における本文伝承史がも
つ
意
義 を扱 う。
(1)シ ャウナカ
・
サンヒタ
ー
にaunaka‐ satthita)
1)写 本の校訂
現在われわれが利用するSSの主要なテキス ト
として、
ベ ルリン ・エ ディシ ョンとボンベ
イ
。
エ
ディシ ョンの二 種類がある。この うち ベルリン
・
泰 弘
エ
デ ィシ ョンは、Rothと Whitneyに よって出版 さ
れた (Roth/Whitney 1856)。 SSの
エ デ イシ ョン
の作 成 に際 して は、PSの 場合に比
べ てい
く
つ
か
の恵まれた条件があった。第 一に複数の写本、す
なわち1853年 まで に ヨー ロ ッ
パ
にその存在が確認
された 8種 類の写本
("が
資料 と して利 用 され た。
第 二 に校 訂 を補 助 す る文献 を利 用 す る こ とが で き
た。サ ンヒター 本 文 を構 成 す る単 語 を独 立 したか
た ち に した
パ
ダ パータ (padapatha)の テキス ト、
そのパ
ダ パータからサンヒターを復元するための
音声学的規則 を記 し、サ ンヒター
写本の校訂に際
して は正 書 法 の指針 となるプラ
ー
テイシヤ ーキア
文献 (Saunaklya caturadhyayika)、 また各賛歌
の韻律 の名称や詩節数などを記 しサ ンヒタ ーの構
成 を再 建 す る た め に役 立
つ アヌクラマニー
文献
(BrhatSarvanukrama,1)、 さ らにサ
ー
ヤナに帰さ
れる注釈文献
(4)な
どが参照 された。
ヨー ロ ッ
パ
における ベルリ
ン ・エ デ イシ ョンの
出版 に対 して、 イ ン ドで も SSの 出版事業が企て
られ た。 これが ボ ンベ
イ
・エ
デ イシ ヨン と言 われ
る もので 、 ボ ンベ
イのShankar Padurang
によって、サンヒター
本文 の他 に
パ
ダ パ ー タの
テキス トとサ
ー ヤナの注釈 を加 えて出版 された
(Sh.P.Pandit 1895-1898)。 この校訂作業では、
グジヤラ
ー トとデカンに存在 した12種類のサ ンヒ
タ
ー 写本 と 6種
類 のパ
ダ パータ写本が利用された
が 、 この他 に 3人 のAVの 伝承者 (vaidika)が 記
憶する伝承内容を考慮 したのが特徴である
("。
た
だ し、 デ カ ンに伝 承 され たAVに はその内容に変
容が確認されるので、グジャラ
ー
トに伝 わ る写 本
が重視 された
(6)。
ベルリン ・エ
デ イシ ヨンとの違
山 土
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