環 境 シ ス テ ム 研 究 論 文 集Vol.29,2001年11月
外部条件の変化を考慮 したライフサイクル評価手法
―長寿命型住宅の普及 シミュ レーションへの適用 ―
松本 亨1・ 石 崎 美 代 子2・ 中 山 裕 文3・ 井 村 秀 文4
1正会 員 博(工)北 九州 市立大学助教授 国際環境 工学部環 境空間デザ イン学 科
(〒808-0135北 九州市若松区ひびきの1-1)
2学生員 九州大学大学 院 工学府都市環境 システム工学専攻(〒812
-8581福 岡市東区箱崎6-10-1)
3正会 員 博(工)九 州 大学 大学院助手 工学研究院環境 システム科学研究セ ンタ
ー(同上)
4正会員 工博 名古屋大学教授 環境学研 究科都 市環境 学専攻(〒464
-8603名 古屋市千種 不老町)
LCAに おいて時間依存性のあるシナリオ分析を行うためのライフサイクル評価手法を検討した.評 価対象
と して,長 寿 命 型 住 宅 と して 提 案,実 用 化 が進 ん で い る ス ケ ル トン ・イ ン フ ィル(SI)住 宅 を取 り上 げ,そ
の 普 及 シ ミュ レー シ ョ ン を行 っ た.ダ イ ナ ミ ック に変 化 す る シ ナ リオ と して,住 宅床面積の需要変化と運用
段 階 に お け る 世 帯 人 員 数 別CO2排 出 原 単 位 を扱 え る モ デル と し,1995年 か ら2100年 の105年 間 を評 価 対 象 と
した.こ れ に よ り,SI住 宅 普 及 に よ るLCrCO2及 び解 体 廃 棄 物 削 減 効 果 を試 算 した.
Key Words: dynamic modeling, life cycle assessment (LCA), Skeleton-infill housing,
life of house
1.序 論
廃棄物の発生抑制や省資源,環境負荷削減対策とし
て,製 品や構造物 の 「長寿命化 」が有力な手段 の一つ
として認識されている.こ れは,全 産業の資源利用量
の 約5割 を建 設 資 材 と して利 用 し,産業廃 棄物 の約2
割,最 終 処 分 量 の 約4割 を 占め る1)建設 業 に お い て も
重要な課題 とい え,長寿命型建造物の技 術開発 とその
普及には強い社会的要請がある.と ころで,都 市はそ
の 姿 を とど め る こ とな く常 に 変化 の過 程 にあ り,都市
構 造 物 を取 り巻 く状 況 も常 に 動 い て い る.都 市構 造物
の評価 を行 う た め には,そ れ が も た らす サ ー ビス と環
境 負荷(も し くは 環 境 影 響)と の バ ラ ンス を 考 え る必
要があるが,その場合双方の時間的な変化を考慮する
こ とが 求 め られ る.つ ま り,都 市 構 造 物 へ の ニ ー ズ を
固定的に扱わず,ダ イナ ミックに分析 するための手法
が必要であるといえる.
製 品や 構造 物 の ライ フサ イ クル にわ た る環 境 影 響 を
総合 的 に 評価 す る手 法 と して ライ フ サイ クル アセ ス メ
ン ト(LCA)が あ る.従 来 か らLCAは,長 期 的 な時 間依
存 性 を考 慮 す る こ とに難 点 が あ る こ とが 指摘 され て い
る2),3).つ ま り,運 用 段 階 や 廃 棄 段 階 の環 境 負荷 発 生
を決める変数をすべて初期条件として固定的に設定し
て し ま う こ と,プ ロ ダ ク トバ ス ケ ッ ト(あ る い は ペ ネ
フィ ツ トバ ス ケ ッ ト)法を用 い る場 合 の 代 替 効 果 に つ
いても時間依存性を無視 していることによる.また,イ
ンベ ン トリ分析 にお い て用 い られ る環 境 負荷原 単位 も,
特定 の 年 の産業 活動 デー タ を前 提 と して い る ことか ら,
やはり資源フロー構造を固定的に扱わざるをえない.
ライ フ サ イ クル の長 い 建 築 物 や都 市 イ ンフ ラ にLCAを
適 用 す るに あ た って,こ れ らの課 題 は こ れ まで 無 視 で
き るも の と して適 用 され て きた.
本研究では,長寿命型住宅のためのライフサイクル
評 価 手 法 を検 討 す る.具 体 的 には 、躯 体 住 戸 分 離 方 式
の工 法 と して 提 案 され て い る スケ ル トン・イ ン フ ィル
住 宅(以 下,SI住 宅)を 評 価 対 象 と して 取 り上 げ る.こ
れは,長 期耐用の躯体部分(サ ポ ー ト)と,取 り替 え
可能な住戸部分(イ ンフィル)を 構造的に分離 した建
築 方 式 で あ る4).本 研 究 で は,サ ポー トの寿 命 を平 均
100年,イ ン フ ィル の寿 命 は世 代 が 変 わ る スパ ンを 考
えて30年 と した.こ の 方式 の住 宅 が 都 市 に普 及 す る こ
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