【土 木計画 学研究 ・論 文集No.172000年9月 】
歩行者意識か らみた道路空間の熱環境評価 に関す る分析*
An Analysis on evaluation for thermal condition of urban road space by pedestrian consciousness
吉田 長 裕**・西 村 昂***・ 日野 泰 雄****
by Nagahiro YOSHIDA, Takashi NISHIMURA and Yasuo HINO
1.は じめ に
近年 、 ヒー トア イ ラ ン ド現 象 等 の 温暖 化 問題 が 、地球
や都 市 な ど様 々 な規 模 の空 間 にお い て論 じ られ て い る。
特に都市部における熱環境問題は、消費エネルギーの増
大や 、土地 利 用 の 形 態 の 変化 に よ って もた ら され て い る
と指摘 されてお り1)2)、そのメカニズムを解明す るため
に様 々 な角 度 か ら研 究 が行 われ て い る3)4)。
筆者 らは、この土地利用形態 の中で都 市に占める面積
割 合 の高 い 道 路 を対 象 と して と りあ げ 、そ の表 面 温度 の
特性 を分 析 した 結果5)、 と くに夏季 にお い て は 日中60℃
を越 え る こ ともあ り、 また 、1年 の 半分 が約35℃ 以上に
なっていることがわかった。このことは、熱帯夜の原因
に な っ てい るだ け で な く、熱 中症 な ど人 体へ の直接 の悪
影 響 を も示 唆 して い る と言 え る。
一方
、最近の道路環境整備においては、これまでの量
的な議論に加 えて質的なアプローチの必要性が指摘 さ
れることが多いものの、熱環境の視点では、その両側面
ともに扱われた事例は少ない。また、歩行者環境につい
て 考 え る と、 特 に夏 季 にお い て は 、直 射 日光 のみ な らず 、
日射 に よ って 高 温 に な っ た道 路 表 面 が 、接 地 層 付 近 の 大
気 温 度 の過 度 な上昇 を もた ら し、照 り返 しに よ る暑 さや
不 快感 を与 えて い る と も考 え られ るた め 、歩 行 者 意識 か
らの 十分 な検 討 も必 要 で あ る とい え る。
そ こで 本研 究 で は 、まず 、 日射 量 や 地 表 面温 度 な どの
外的条件が暑 さの感 じ方に及ぼす影響について把握す
るた め、温 度 関連 デ ー タ の収 集 と同 時 に 、通行 中 の歩 行
者 に対 して ヒア リン グ調 査 を行 い 、意 識 面 と物理 面 の関
連性について把握することとした。次に、道路種類や路
面状 況 の 異 な る4箇 所 に お いて ア ンケ ー ト調 査 を行 うこ
とで、異なる道路空間が沿道居住者や道路利用者の暑 さ
の感 じ方 に及 ぼ す影 響 につ いて 把握 す る こ とと した。
2.調 査概要
本研究では、以下に詳述す るようにヒア リング調査
(調査A)と ア ンケー ト調査(調 査B)を 行 った。 調 査
Aで は、道路種類(道 路幅員構成や交通量等)や 外的条
件(日 射量や表面温度)の 異なる状況において、歩行者
が感 じる暑 さの要因の抽出と物理指標 との関係 を分析
し、調査Bで は、道路種類 によって暑 さの感 じ方が大き
く異 なっ た調 査Aの 結 果 を踏 ま えて 、複 数 の道 路種 類 の
沿道居住者 による自宅前道路の熱環境に対する意識 と
感覚の評価、またそれぞれの道路条件に応 じた道路空間
の熱環境改善策について検討することとした。
(1)ヒ ア リン グ 調 査 の 概 要(調 査A)
1998年9月 か ら10月 にかけての晴天4日 間の 日中(お
よそ10時 ~17時)を 選び、表面温度上昇抑制効果があ
る と され て い る排 水 性 舗 装 の施 工 され て い る大 阪 市 内
の幹線道路沿いの歩道上及び地区内道路において、主に
歩 行者 を対 象 にイ ン タ ビ ュー形 式 に よっ て 、次 の よ うな
内容 につ いて 調査 を実 施 した(表-1)。
○暑 さの種類 とその感 じ方
○ 暑 さに よ る通 行 頻 度 へ の影 響 と暑 さ軽 減 の た め の 道
路空間構成要素
○暑 さの感 じ方 と物理指標値 との関連 性
表-1ヒ ア リ ン グ調 査 箇 所 の 概 要 と
サ ンプル デー タ数(調 査A)
本 研 究 の主 な 目的 の1つ は、暑 さの感 じ方 と物理指標
値 の 関係 を 明 らか に し、施 設 側 対応 に よる熱 環 境 改 善 の
評 価 や 環 境 保 全 の た め の基 準 の 提 示 を試 み る こ とで あ
る。 そ のた め暑 さの感 じ方 を左 右 す る と考 え られ る指 標
として、 こ こで は表 面 温度 と 日射 量 を測 定す る こ とと し
*Keywords:意 識調査
、表面温度、排水性舗装、歩行環境
**学 生員
,工 修,大 阪市立大学大学院後期博士課程
(〒558-8585大 阪市住 吉 区杉本3-3-138TEL/FAX(06)6605-2731)
***フェロー
,工 博,大 阪市立大学工学部土木工学科教授(同 上)
****正 員
,工 博,大 阪市立大学工学部土木工学科助教授(同 上)
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