土 木 学 会 論 文 集No. 677/11-55, 221-222, 2001. 5
[討議・回答]
二瓶 泰雄
灘岡 和夫
共著
「GALモデル に基 づ く移 動 境 界 流 れ解 析
法の構築 とその応用」への討議 ・回 答
(土木 学 会 論 文 集, No. 642/II-5o, 2000年2月掲 載)
▲討 議 者(Discussion)
中 山 昭 彦(神 戸大学)
Akihiko NAKAUAMA
近 年流 体運 動 の数値 計算 法の進 歩 は著 し く,特 に流
体 の相が 変 る界面 の あ る場合 や異 な る相 が混在 してい
る場 合 な ど,従来 で は解 く事 自体 難 しい とされて いた
もの まで計算 が可能 にな り精 度 も上 が って来 てい る.
本 論文 もまた相 間界 面 の移動 を精 度良 く計 算 す る新 し
い解 法の提 案 と検証 で, 今後 い ろい ろな場 合 で応用 さ
れ る こ とが考 え られ非常 に興 味 あ る もの であ る.今後
のユ ーザ ーの立 場 か ら少 々細 か くな るが, 3点ほ ど質
問す る こ とで討 議 に替 え させ て頂 きた い と思 い ます.
まず主題 の界 面追 跡 であ るが,本 方法 で は体積 濃度
関 数 の計算 に,界面 を含 むセ ルで は液体 の 占 める部分
の重心 や法 線方 向, 曲率 な どの計算 が加 わ るた め,計
算 負 荷 が増 加 す る可 能性 が あ る.他 の方 法 との比 較
は,同 一格 子,Courant numberの 条件 で の精度 の比
較 な され てい るが,計 算時 間 は どうで あ るか知 りた い
ところで あ る.
次 に各 々 の相 につ いて の運動 方程 式 の解 法 で,界 面
で の圧力 の条 件 は説明 され て い るが, 速度 につ いての
条 件 は明確 に 示 され て い な い.本 方 法 はFractional
step methodを 用いているので,中間仮速度の境界条
件 が必 要 に な る.Kim & Moin1)に よれ ばFractional
step methodで の中間速 度 の境界 条件 には実速 度 か ら
圧力 勾配 の影 響分 を取 り除 いた もの に しな い と不都合
が起 こる と指 摘 され てい るが,本 方法 で は界面 で の中
間速 度 につ いて の条件 は どの よ うな取 り扱 い を しなけ
れ ばな らな いのか.
最 後 に水柱 崩壊 問題 への適 用例 につい て幾 つか質 問
させ て いただ きます. この問題 で は,液体 にかか る力
は重 力 とそれ に起 因す る圧力 が支 配的 で粘性 力 は殆 ど
影響 しない と考 え られ る. しか し,す べ りなしの側壁
と底面 の近 傍, また界面近 傍 で は重要 で あ る と考 えら
れ る.図 一9に示 され て い る場 合 で あ る と,水 柱 の高
さ と平均的速度(図 か ら約0. 5m/s)で 定 義 され るレ
イ ノル ズ数 は液 体側 で5×105, 気 体 側 で7000程 度で
差 分法 によ る数 値計 算 にはか な り高 い レイ ノル ズ数で
あ る.側壁, 底 面 の界 面 層 は非 常 に薄 く本計 算格 子で
は境 界 層 内の変 化 は捉 え られて い ない. また界 面 の気
体側 で も速度 勾 配が 大 きい層 が あ るが十分 解像 されて
いな い ように見 える.粘性, レイ ノルズ数 の影 響 が捉
え られ て いな い可能性 と,移 流項 に用 い られ て いる風
上差分による数値粘性の影響が気になるところであ
る.
すべ りなし境界では液体 ・気体界面 も動かないの
で, 界面 の鉛 直壁 上 での理 論値 は常 に初 期値 で,壁 か
ら少 し離 れ た と ころで は時 間 が経 つ につれ壁 に近 づ い
てい くはず であ る. また底 面近 傍 で も界 面 はや や離 れ
た位置 か ら時 間 の進行 と ともに,底 面 に近 づ いて い く
のではないか.図-9や図一12ではこの傾向が見 られな
いが, これ も粘性 の効 い てい る領域 が解 像 され てい な
いため と想像 され る.これが全体 の予測 にどう影響 し
て いるの か. 図一10に 水面 の 高 さ と,液 相 フロ ン ト位
置 の計 算結 果 が, 実験値 と比 べ られ て い る.水面 下降
は実験値 よ りやや早 く,フロン ト位置予測は実験値 よ
りやや遅 く予測 されて い る. これ は粘 性 過大評 価 で は
説明 出来 な い. また 越 塚 の 計 算 やVOF法 に よ る結
果, また未 発表 で あ るが睦 田2)の 計 算 結 果 と反対 の傾
向で あ る. も し,理 由 が分 か って い るな ら知 りた い と
ころで あ る.以 上 の水柱 崩壊 問題 につ いての質 問 は移
動界 面追 跡 法 の精 度 と直 接 関係無 い か も知 れ な いが,
高 レイノル ズ数 流れ に応 用 す る ことが 目的 とされ てい
るので, 理 由 は明 らか に されて い る方 が 良い ので はな
いか.
参考文献
1) Kim, J. and Mom, P. : Application of a Fractional-Step
Method to Incompressible Navier-Stokes Equations, J.
Comp. Phys., Vol. 59, pp. 308-323, 1985.
2)睦田秀 実:大規模 砕波 に よる気液 混相 流体 場 にお ける高
精度数値計算手 法の開発, 岐阜 大学博士論文, 2000. 3.
(2000. 3. 10受付)
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