1.手法の経緯 Material Point MethodMPM 1) Sulsky らが1994年 に初めて提案した。流体力学で利用されてきた PIC Particle In Cell)法を個体力学に応用した数値計算法で ある。数値計算法としては連続体に基づく粒子法に分類 される。 MPM の特徴は,応力,ひずみなどの物理量を粒子に 持たせる一方,運動方程式はその背後に配置した計算用 の格子で解くという点である。粒子に対しては,座標を 陽な形式で更新することで空間を移動させ,一方,計算 格子の座標は更新せず不動とする。こうすることで,メ ッシュ形状が破綻することなく大変形の解析が可能とな る。計算格子から粒子へ物理量を補間する過程は有限要 素法の形状関数による手法と同じである。既存の有限要 素法の解析技術の多くを利用できる特徴があり,多くの 解析技術者にとって理解しやすい手法といえる。 MPM は,世に出て以来,多くの分野に応用されてき た。粉体の流出 2) や固体力学における接触問題 3) に応用さ れ,地盤分野では Konagai 4) による研究が先駆的であ り,土石流への適用は阿部ら 5) によってなされている。 初期の MPM は粒子が計算格子を超える際に数値振動 を生じる難点があった。計算格子を超える度に応力が振 動するため,非線形性が強い地盤材料へ適用するには, この数値振動が課題とされていた。この問題はBardenhagen らが提唱する GIMPGeneralized Interpolation Material Point)により根本的な解決が図られた 6) GIMP の特徴 は特性関数(Characteristic Function)を用いて,補間関 数(FEM の形状関数に相当)の定義を一般化したこと である。この特性関数の定義方法により様々な MPM その後提案されて現在に至っている。 本稿は,第2章で MPM の定式化,第3章で解析例を 紹介することで手法の概観を示す。また最後に手法の展 望を示す。全体を通して読者が少しでも手法の理解を深 めることができたら幸いである。 2.定式化 MPM の定式化において,支配方程式を弱形式化し, それを離散化する過程は有限要素法のそれと同一である。 図-1(a)は MPM における空間離散化の概念図である。 実際の数値計算はスタッガード格子を用いた図-1(b)に ある実装図により数値計算を実行する方法が多く取られ ている。 MPM は計算個体として粒子,格子点,格子が存在す る。これらは,理解をしやすくするために FEM と関連 させて示すと,表-1の対応関係にある。 以下にオリジナル MPM の定式化の代表的な部分を記 載する。式 ~式 中にある上添え字 は計算ステッ プ数を表す。また格子点物理量は下添え字 ,粒子物理 量は下添え字 で表している。 粒子質量から式 により格子点質量を算出する。 ,はそれぞれ,格子点質量,粒子質量,粒 子位置における形状関数,格子内にある粒子数である。 ……………………………………… 粒子応力から式 により格子点内力を算出する。 はそれぞれ,格子点内力,粒子密度,形状 関数の導関数,粒子応力,である。 ……………………………… Material Point Method の概説と適用例 Outlines and examples of Material Point Method Takatoshi KIRIYAMA シリーズ「土砂災害に関する離散体・流体解析手法と適用例」 砂防学会誌,Vol.68,No.3,p.43-46,2015 清水建設(株)技術研究所 Institute of Technology, Shimizu Corporationkiriyama@shimz.co.jp MPM FEM 評価点 釣合式 運動方程式 粒子 格子 格子点 積分点 要素 節点 図-1 MPM の概念図および実装図 Fig.1 Conceptual diagram and implemental diagram of MPM configuration 表-1 MPM FEM の対応関係 Table1 The relation between MPM and FEM ―43―