環 境 シ ス テ ム 研 究 論 文 集Vol.34,2006年10月
生産 ・流通を考慮 した地産地消 ・旬産旬消
に よ るCO2排 出量削減に関する研究
白木 達 朗1・ 中村 龍2・ 姥 浦 道 生3・ 立 花 潤 三4・
後藤 尚 弘5・ 藤 江 幸 一6
1
非会 員 豊橋技術科学大学学生 エ コ ロジ ー 工学 系(〒441-8580愛 知県 豊 橋 市 天伯 町 雲雀 ヶ丘1-1)
E-mail:shiraki@fujielab.eco.tut.ac.jp
2
非会 員 豊橋技術科学大学学生 エ コ ロジー 工 学 系(同 上)
E-mail:nakamura@fujielab.eco.tut.ac.jp
3
正会員 大 阪市 立 大学 助手 工 学研 究 科 都 市 系専 攻(〒558-8585大 阪 市住 吉 区杉 本3-3-138)
E-mail:ubaura@urban.eng.osaka-cu.ac.jp
4
正会員 豊橋技術科学大学博士研究員 エ コ ロジー 工 学系(〒441-8580愛 知 県 豊 橋市 天 伯 町雲 雀 ヶ 丘1-1)
E-mail:tachibana@eco.tut.ac.jp
5
正会員 豊橋技術科学大学 助教授 エ コ ロジー 工 学 系(同 上)
E-mail:goto@eco.tut.ac.jp
6
非会員 豊橋技術科学大学 教授 エ コ ロジー 工 学 系(同 上)
E-mail:fujie@eco.tut.ac.jp
本研 究 は地 産 地 消 によ る環境 負 荷 の変化 を評 価 す る こと を 目的 とした.キ ャベ ツと トマ トに着 目し,地
産 地 消 によ るCO2排 出 量 削 減 効 果 を生 産 と輸 送 工程 を考 慮 して推 計 した.そ の 結 果,キ ャベツは年間で
12,000tのCO2排 出量を削減する可能性が示唆されたが,ト マ トは6,000tに留 ま っ た.生 産 の 時期 をず らす
旬 産旬 消 の効 果 を 推 計 した 結 果,ト マ トは冬 春 か ら夏秋 に一 人 当 た り150gの 消 費量 を シフ トす る こ とに よ
っ て13,000tのCO2削 減 効 果 が示 唆 され たが,キ ャベ ツは 同程 度 のCO2削 減効 果 を得 る た め には2,000gを 夏 秋
か ら春 ヘ シ フ トしな けれ ば な らな い と い う結果 に な った.農 業か らのCO2排 出量 を削 減す るた め には,産
地 や季 節 を考 慮 した適 産 適 消が 有 効 で あ る.
Key Words:Local production for local comsumption, transportation, Linear programming, CO2 emission
1. は じめに
我が国 は,南 北 に国土 が広 がる とともに,列 島を縦断
するように山脈が走っているため,高 原から平地まで三
次元的に農地が広がっている.こ のような気候 ・風土を
活か して現在 までに 日本の至 る所 に自主的,あ るいは農
業資材産 業や食 品産 業主導によ り産地が形成 されて きた.
また,農 業技術の進歩がそれら産地間での出荷調整を可
能 と し,野 菜 の周年供給 を実現 した.最 近で は鮮度保持
のための予冷技術・保冷技術・貯蔵技術などの進歩や運
搬技術の向上,加 えてそのための保冷車や冷凍車の開発,
道 路網 な どイ ンフラが整備 され,野 菜 の広域流通 の障害
は無 くな りつつあ る.
それに伴い,中 央卸売市場や地方卸売市場を通じた流
通のほか に,生 活協 同組合や スーパーな どの量販 店が介
在した市場外流通,宅 配便などのように物流業者が介在
した流通,外 食産業や食品加工業者と出荷者の間の直接
取 引による流通な ど,流 通経路 の多様化 が進んで いる1).
このような農業関係者の様々な努力によって,我 々は
いつでも野菜や果物 を手 にする ことができ るよ うにな っ
た.し かし,消 費者 ・生産者の顔の見えない関係が続く
中で,残 存農薬やBSE問 題などの食の安全性についての
不信 ・不安が起こり,近 年,地 元食材を求める消費者が
増えて いる2).そ うした現状を受 け,近 年,農 業関係者
は生産者 と消費者の距離 を縮め るた め,地 場 の産物 を地
元で消費す る 「地産地消」 に取 り組 んで いる.地 産地消
は,農 作物直売所,ス ーパーマー ケッ ト,飲 食店,学 校
給食 と多岐 にわた り展 開されて いる3)4).
地産地消 に関す る研究 では,安 全性 の観 点か ら トレー
サ ビィティ技術が先行 しているの.環 境 面か らも循環 型
社会白書6)のなかで地産地消は地元のものを地元で消費
す る ことか ら,輸 送距 離の短縮 につなが り環境負荷が低
減されると期待されている.地 産地消を環境負荷低減の
対策 とする観点からは,輸 入作物の移動距離と重量の積
で環境 負荷を表す 「フー ドマイ レー ジ」 に関す る研究が
行 わ れ て い る.海 外 で は,ド イ ツWuppertal研 究 所7)や イ
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