土 木 学会 論 文 集No. 442/V-16, pp. 147~152, 1992. 2
寒冷地舗装の破損遷移に関す るデータ解析
武山 泰*・内村星史**・福田 正***
本論文 は, 東北地方 にお ける路面性 状調査 データを解析 することにより, 寒冷 地 にお
け る ア ス フ ァル ト舗 装 お よ び コ ン ク リー ト舗 装 の破 損 遷 移 に関 す る評 価 を行 っ た もの で
ある. とくにデータ数の少 ないコンクリー ト舗装 については, ひび われ 度 と わ だ ち掘 れ
量 の2特 性値 につ いて2重 指数分布関数に よる破 損遷移 モデルの構築 を行 い, これ によ
りマ ル コ フ連 鎖 確 率 を求 めて 破 損 遷 移 に関 す る 評価 を行 っ た.
Keywords: pavement in cold area, pavement deterioration, data processing, reliabil-
ity
1. ま えが き
近年, 国道 等 において道路管理者によって路面性状に
関する調査 が実 施 さ れ る よ う に な っ た. しか し, この調
査は数年 間隔に実施 され て お り, デー タ解析 に際 して は
データ間の時系列的な関連性が不明の場合があること,
また コ ンク リー ト舗 装 な どの 特 定 の 属 性 に関 して は デ ー
タ数 が不 足 す る こ と な ど の問 題 が あ り,舗 装 の破 損遷 移
を十 分 に分 析 し評 価 す る こ とが で き な い場 合 が あ る.
本研 究 に お い て は, 既 に著 者 らが 開 発 した マ ル コフ連
鎖 モ デ ル に よ る破 損 評 価 シス テ ム1)と 確率密度関数によ
る破 損 遷 移 モ デ ル を 用 い た手 法2)を 併用することによ
り,破 損 遷 移 を推 計 学 的 に解 析 す る アル ゴ リズ ム を作 成
した. そ して この事 例 研 究 と して, 東 北 地 方 におけるア
スファル ト舗装 とコ ンク リー ト舗装の路面性状調 査デー
タに適用 して,寒冷地における両者の舗装の供用性の比
較 を試 み た.
2. デ ータ解析のための基本モデル
(1)マ ル コ フ連 鎖 モ デル
舗 装状 態 を供 用 性 指 標 な ど に基 づ いて ラ ン ク1か ら,
ラ ンクmま での η段 階の ラ ンクで評 価 す る. ま た, 舗
装 の破 損 状 態 の遷 移 は, 一 定 期 間(ス テ ッ プ)ご と の離
散 的 な 時 刻 に お い て の み生 起 す る もの とす る.この と き,
舗装状態の遷移確率が現在の舗装状態のみに関係すると
仮 定 す る な らば, 舗 装 の破 損 遷 移 は一 様 マ ル コフ連 鎖 で
あ り,舗 装 状 態 の ラ ン ク の各 組 に 対 す る遷 移 確 率 ρfjを
マ トリ ッ クス表 示 す る と式(1)と な る.
P=
P11 y12 Pln
P21 P22 Y2n
Pnl Pn2 Pnnj
(1)
こ こ で, 0≦ ρjj≦1,Σ ρ=1.
j=1
舗装 の状 態 をm段 階の ランクで評価 した 場 合 に, T=
0年に お ける舗 装 の 初期 状 態 は式(2)の 行ベ ク トルで
与 え られ る状 態 確 率 で表 され る.
X(0)[x1(0) x2(0) xn(0)] (2)
こ こで, x, (0): 舗 装 が 初 期 状 態 に お い て ラ ン クjで
ある確率
ま た, mス テ ッ プ遷 移 後 の舗 装 の 状 態 確 率 ベ ク トル
X(m)は式(3)で 与 え られる.
X(m) -X(m-1)p-X(p) pm. (3)
初期状態 がランクjであ る舗装が, 終局的破損状態の
ラ ンクmに 至 る ま で に, ラ ン クjに滞 留 す る平 均 ス テ ッ
プ数 は式(4)の マ トリックスMの 要 素m, jであ り,
その各行の要素の和は,それぞれの初期状態の舗装が終
局 的破損状態 に至 るま で の平 均 ステ ップ数 を表 す. この
こ とか ら,初 期 状 態 が 良 好 な状 態 の ラ ンク1で あ る舗 装
が吸収されるまでの平均ステップ数を求めて,新設の舗
装の平均供用寿命を解析することができる.
M=[I-P]1
(4)
ここで,M:平均滞留ステップ数のマ トリックス
1: (η一1)次の単位マトリックス
P1: 遷 移 確 率 マ トリ ッ ク ス か ら π行 お よ びm
列 を削除 した(%-1)次の正方行列
(2)確 率 関数 に よ る破 損 遷 移 モ デル
た とえ ば, コ ン ク リ ー ト舗 装 とい っ た特 定 の属 性 の舗
装 を解析 の対 象 と し,そ の 属 性 の舗 装 につ い て得 られ る
破損遷移のデータ数が少ない場合には,得 られたデータ
*正会員 工修 東北大学助手 工学部 土木工学科
(〒980仙 台市青葉区荒巻字青葉)
**元東北大学学生 工学部土木工学科(現西松建設(株))
***正 会員 工博 東北大学教授 工学部 土木工学科
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